皆さん、おはようございます。
昨今、「ウッドショック」という事で色々なマスメディアで取り上げているようですね。
内容が薄くて真意が見えないように思います。今までも物の価格が上昇すると話題にしますが、価格暴落が起こっても取り上げませんね。(株は別ですが)
今までの日本の丸太の価格推移をみると、年々価格が下がっていた事が分かります。自動車、建築設備、サッシなど大手企業が作る商品は年々価格を上げて来ましたが、再生産されるのに50年以上のサイクルが掛かる木材が物価上昇とは反対の動きになっている事が分かります。これでは、生産する人もどんどん減少して行きますよね。
林業はほとんどが中小企業や個人の企業の集まりで生産が行われております。季節による変動(伐採や製材)が有ります。その為に、鋼工業生産品の様な柔軟な生産調整は出来ません。その様な業界構造の為に市場の需要に左右されやすいという面を持っています。
2000年以前は、国内で生産される木材はほとんどが未乾燥又は天然乾燥という木材で、木材中に水分が残っており、その水分が空気中の飽和水蒸気量との関係で木材中の水分が減少して行く事で形状変化を起こし、割れや曲がりを起こしておりました。
2000年から当社で使い続けている「ミズダス」という商品を作る乾燥システム(林野庁住友林業に補助金を出してスギ材をする乾燥システム)が開発されました。その事により国産材のスギ材の乾燥技術が確立され、やっと精度の安定した商品が作れる様になった。
しかし、同時に欧州からのホワイトウッド(家具などの用材)やレッドウッド(内装材用)などの材料が輸入されるようになると、コストの安い欧州材の比率が高くなって来ました。もともとは欧州の製材はパルプ用のチップを生産する事がメインでした。しかし欧州ではペーパーレスの流れを受けて、パルプ用のチップの生産が減少に転じ出した時期もあり、余った丸太を製材して集成材やKD材として製品に供給先として日本の市場に多く輸出されるようになりました。
その為に、国産材の製品も段々と安くなり丸太も下がり、段々と生産業者も減少して行きました。その頃から価格低下が進みました。
下のグラフでは、丸太価格は下がっていますが、製品は少しずつ上昇しているように見えますが乾燥材にする為に乾燥機を導入し、蒸気作り温度を上げて数週間(10日~2週間)掛けて乾燥をするコストを考えるとコスト分を吸収しているかという面を考えないといけないように思います。
また、製品の価格推移に関しては年間の季節変動も有る為に、グラフのよりももっと大きな動きをしております。
今回のウッドショックは、世界的に環境を考えて「環境にやさしい素材の選択」という動きにより、改めて木材の価値が見直されて来たという面も有ると思います。
当社は、これからも国産材の取扱いをメインに考えて、日本の森林とお客様を結び付ける事で明るい日本の未来を創るお手伝いを出来るように、川上から川下の皆さんと手を取り合い進めて行きたいと思っております。
今回のウッドショックは、価格高騰ではなく「適正価格への見直し」という見方をして頂ければと思っております。
ちなみに、鋼板や飼料なども急激に価格上昇しております。色々な物を見直して行かないと生活が困難になると思います。今まで以上に物を大切にする気持ちがこれからの時代を作って行くと思います。
平成30年度の森林・林業白書より引用